参考資料

「よくある質問」でカバーしきれなかった情報を記載していきます。

  • 回転速度と膜厚の関係について
  • 実際のコーティングとの比較
  • スピンコーターの操作イメージ
  • ステップとは
  • スピンコーターの試料台について

回転速度と膜厚の関係について

スピンコーティングによる成膜は、回転速度とワーク上の液の厚さ、液の動粘度、回転時間に関係し、一般的に回転速度が早いと薄い膜になり、遅いと厚い膜になります。

※回転から一定時間経過後、液の厚さは回転速度に応じた膜厚に収束します。

 

回転しているワーク上の液が遠心力と粘性力で釣り合っていると仮定し、ニュートンの粘性法則から遠心力方向の速度と流量を求め、膜厚の時間変化の関係式を導出すると、以下の式が成り立ちます。

h = h 0 1 + 4 ω 2 h 0 2 3 ν t

h :膜厚[mm]、 h 0 :初期膜厚[mm]、 ω :回転速度[rad/sec]、

t :時間[sec]、 ν :動粘度[cStまたは mm 2 /sec]

ν = μ ρ

ν :動粘度[ m 2 /sec]、 μ :粘度[Pa・s]、 ρ :密度[kg/ m 3 ]

膜厚をコントロールする場合、上式を用いて回転速度と回転時間を調整することで、目的とする膜厚を成膜します。

※1 上記の関係式は、ワーク上部表面全てに液がある前提で導出しています。

       液滴が微小量の場合、結果が異なる場合があります。

※2 上記の関係式は、ウェットコート時の場合となり、液膜が乾燥後は更に薄くなります。

 

参考文献

  • Emslie, A.G.“Flow of a Viscous Liquid on a Rotating Disk” Journal of Applied Physics 29(1958), 858-862

実際のコーティングとの比較

事例として、フォトレジストFPPR-200(富士薬品工業株式会社製)を用いて、理論膜厚算出をします。

理論値の算出

項目 数値 単位
粘度 8.5 [mPa・s]
密度 0.98 [g・cm^3]

※液の粘度及び密度はFPPR-200製品仕様より抜粋 

上記表より、動粘度係数は、約8.67mm^2/sec。

スピンコーター設定数値等

項目 数値 単位
初期膜厚  0.01 [mm]
回転速度 5,000 [rpm]
回転経過時間 10 [sec]

上記条件より、下記理論膜厚が導き出されます。

スピンコート理論値グラフ

実際のコーティング事例

下記データが、実際にレジストをスピンコートし、分光膜厚計で測定をおこなった結果です。半導体用フォトレジストは、シリコンウエハ等の表面に薄膜塗付し、フォトマスクを置いて紫外線照射することにより、感光させます。主にCI回路やプリント基板等に使用されます。

フォトレジスト

  • 膜:レジスト
  • 基板:Si
  • 測定波長:400nm~1,000nm

レジスト膜の反射率スペクトル 2,500rpm

レジスト膜の反射率スペクトル 2,500rpm

レジスト膜の反射率スペクトル 5,000rpm

レジスト膜の反射率スペクトル 5,000rpm

スピンコーターの回転数と膜厚の関係

スピンコーターの回転数と膜厚の関係
膜種 回転数  実測値  屈折率 
レジスト 2,500rpm 779.800nm 1.6
レジスト 5,000rpm 558.600nm 1.6
上記関係式は簡易モデルによる関係式のため、実際のスピンコートでは、様々な要因による影響が含まれます。(例えば、回転数のSTEP制御や、基板上の液滴下条件等が存在します。)
そのため、上記式により導出した膜厚は参考程度に留めることをお勧めします

当社のスピンコーターは、タッチパネルからレシピを入力して、スタートスイッチ押すだけでOKです。

 

まずはワークをどのように回転させるかを考えます。

  • ワーク上の液の塗り拡げにどのくらいの回転速度にするか
  • 最大回転速度に何秒で到達させるか
  • 最大回転速度で何秒間回転させるか
  • 合計で何ステップ使用するか      Etc…
操作方法イメージ

設定の入力は各設定値をタッチするとテンキーが表示されます。

数値入力後、ENTERで書込が完了。

 

自動運転のレシピ設定を入力したら、スピンコーターにワークをセットしてスタートを押すだけです。設定されたレシピに沿ってワークを回転させ、コーティングされます。

マニュアル操作(手動操作)方法イメージ

「レシピ設定で1秒間に5000[rpm]まで加速したらどんな挙動になるのか」

そんなときは手動運転で1ステップ分の単体動作が試せます。

手動操作方法イメージ

レシピ編集機能とは

自動運転のレシピ設定を変更する際、既存の設定から1つ1つ入力するのは手間・・・。

当社の装置は、そんな煩わしい作業をしなくていいように、レシピの設定変更に便利な編集機能が4つ備わっております。

スピンコーター機能編集イメージ

①「このステップの前にもう1つ別の速度の動作を入れたい」

 → そんな時は、「ステップ挿入」で新たな動作ステップを手軽に追加。

 

②「このステップの動作は不要になった」

 → そんな時は、「ステップ削除」で不要な動作ステップを手軽に削除。

 

③「このステップと同じ数値をもう一度別のステップに入力するのは面倒」

 → そんな時は、「ステップコピー」で別のステップをコピー、面倒な入力手間を削減。

 

④「このステップだけ変更して動かしたいけど、前のデータも残したい」

 → そんな時は、「プログラムコピー」でプログラムをコピー、元のデータを残したまま同じレシピを変更可能

スピンコーターにおけるステップとは、「設定した回転速度へ加速(減速)し、目標速度へ到達後どのくらい回転し続けるか」を1つのステップと区分けしております。各ステップの「加速(減速)時間」「回転速度」「キープ時間」の3つを設定することで、意図した動作が設定できます。

スピンコーター、ステップについての画像

スピンコートでは、初めに低速で塗布液を全体に流し、徐々に加速して目的とする速度で回転して余分な液を飛ばすことが一般的です。急激な回転速度の変化は成膜に影響を与える可能性があります。

 

「より細かく回転速度を刻み、微調整したい」というお客様のご要望にも応えられるように、当社のスピンコーターは1プログラムにつき最大50ステップ、最大20プログラム分の設定が可能となります。

あすみ技研では、お客様のご要望にお応えするため、標準の試料台のご用意だけでなく、試料台の材質・形状のカスタマイズも承っております。特殊な形状のワークや塗布液に対応した試料台の製作も可能となりますので、お気軽にご相談ください。

 

レンタルの際に使用して頂く標準の試料台として、アルミ製の試料台があります。スライドガラス等の小さいワークの場合、1インチ用の試料台で使用可能となります。

スピンコーター治具図面(4インチ、1インチ)